二兵

フレンジーの二兵のレビュー・感想・評価

フレンジー(1972年製作の映画)
4.1
サスペンスの帝王・ヒッチコック氏による最後から2番目の監督作品。

冒頭、街の風景のロングショットから、徐々に地上に近づき、やがて死体が発見されて…という、細部を少しずつ明らかにしていく演出が秀逸。

氏は自分の作品に必ずカメオ出演している事でも有名だが、今回、その出番はかなり早く、しかも相当分かりやすい(笑)。

これは、映画のどこかに隠れている氏を見つけようとして、観客が内容に集中できなくなる事を考え、後期の作品では、なるべく早めに出ることにしたんだとか…。

ちなみに犯人も直ぐに分かってしまうが、この作品は、あくまでミステリーではなくサスペンス。なので、『犯人は誰か』ではなく『追い詰められた主人公はどうなってしまうのか』『犯人は捕まるのか、それとも逃げ切るのか』という、心理的な部分をどう見せていくかが重要なのである。

『サイコ』を彷彿とさせる最初のネクタイによる絞殺シーンを始め、名匠の熟達した演出をあちこちで楽しめる。

ヒッチコックは、幾つかコメディーも手がけた事があるだけあって、笑えるシーンもチラホラ。特にあの変な料理ばかり作る奥さん…笑。

ヒッチコックは、この時期低迷していたそうだが、この映画は、なかなかの良作でした。復活したかと思いきゃ、次回作が最後の作品になってしまったのが残念。
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