ワンコ

デンジャラス・ビューティーのワンコのレビュー・感想・評価

4.3
【世界平和】

※Bunkamuraル・シネマ ワーナー・ブラザース創立100周年記念上映 35ミリで蘇るワーナー・フィルムコレクション 。

今改めて観ると、この「デンジャラス・ビューティー」は、本当にいろんなエッセンスが詰まった面白い作品だと思う。

この作品のアメリカの公開は、2000年12月だが、その9ヶ月後に9.11テロがある。
映画の中で「イスラム聖戦のテロかも」みたいな会話があるが、イスラム聖戦とは、ガザ地区でハマス同様、イスラエルに対抗する武装勢力で、ガザ地区内の病院が爆撃され500人近い人命が奪われたのは、このイスラム聖戦の誤爆だったんじゃないかとの憶測が流れている。

この頃のフェミニズムは、容姿重視で、男性からの視線を重視する女性が、社会進出を目指す女性を批判する時に使っていたような気がするが、今は、ビューティーコンテストも様変わりしつつあって、フェミニズムは、社会進出を目指す女性のムーブメントをネット民やネトウヨの一部が使う言葉になってしまっている。

今の時代、これが撮れるかといったら分からないが、改めて本当に色々面白い。

ビューティーコンテストに出られそうなのが、サンドラ・ブロック演じるグレイシーしかいないって設定が、今となっては時代を感じさせる。
まあ、20年以上前だし。今は、こうした容姿を中心にしたコンテストには変化が訪れているのは周知のところだ。
ただ、この時代も、コンテストはスカラーシップのもので、ランク付けが目的じゃないとされているのは、コンテストが既に変化しつつあったのだと思う。
世界平和を願うと異口同音願うのは、今では、環境保全に変わってしまったと思うが、世界平和はこの頃よりも遠のいてしまった感じがする。

あの着せ替えアプリだって、社内でやってたら即刻クビって会社もあると思う。

どこに銃を隠すの?と聞かれて、あるだろとケツを叩くってのも映画は良くてもテレビは無理だろうなとか笑

ただ、先走ったり、独断で行動したり、グレイシーには問題行動があるように見せておいて、実は、分析力やデータを用いた洞察力、それに直感力も、他の捜査官より優れていて、更に、格闘技のセンスも抜群っては、この映画が撮られた2000年前後、アメリカ社会で女性の社会進出が本格的になって来たのだと感じるし、それに対して男性も抵抗を示していたさまも分かる。

それに、大股でずかずか歩き、〇〇ワードを頻発し、仕事以外はズボラに見えるグレイシーが様変わりする様はなんといっても微笑ましい。
だから、女性が化粧して着飾ろうとするのは理解できる気がする。
最近は、マスクが取れて、ちょっとかわいそうな人も増えた気がするが、女性に言わせると、それは男性も同じということらしい。

それにWEBカメラ越しにニヤけて喜ぶ男性捜査官を見ると、今でもそんなもんじゃないかと思ったりする。

ビューティーキャンプを通じて友情を育み、グレイシーがコンテストに理解を示す様は、こうした女性を容姿で弄ぶのは彼女たちというより、社会の問題だと言っているのだ。

同性愛も少しだけ盛り込んで、てんこ盛りにしようとしているが、結構あれこれ考えさせらるクオリティの高いからコメディだと思う。
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