しゃりあ

友だちのうちはどこ?のしゃりあのレビュー・感想・評価

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)
4.2
「おめぇ次ノートに宿題やってこなかったから退学にすっからな!覚悟しとけや!」とバチギレられた友だちのノートをうっかり持って帰ってきてしまい、家も知らない友だちのためにノートを返しに行くだけの、"はじめてのおつかい"みたいな話

撮り方がかなり作為的で、検閲があったことを加味すれば、いかに直接的に描かないかに力をめちゃくちゃ入れていることがわかる

もう出てくる大人が本当に冷たいのだ!
母親はNPC並みに同じことしか言わねえし、誰に聞いても「知らない」とあしらわれるし、ジジイはタバコ持ってるのに買いに行かせるし、唯一ついてきてくれた爺さんも足遅すぎて頭がおかしくなりそう
頭が硬く見えるように撮っているのは、イランの文化的批判な目線もあるだろうと思う
"はじめてのおつかい"みたいに主人公を観ていると、胡乱な大人にイラつき、主人公が言葉を飲み込んでいることに気づき、気づけば「子供を見守る」視点から、「自然と主人公と同化した」視点になるように仕向けられている この手腕はヤバい
単に批判するというより、自覚を促すような作りはすごいよ

でもホント、あんまりうますぎて終始イライラ焦りっぱなしだった
ラストの友だちがソワソワしながら先生が回ってくるのを待っているシーン、一番苦手な焦燥感なのでマジで観ながらゲロ吐くかと思った
キツイよ!!!

それにしても大人はもう少し子供の話聞けよ!と思うし、もっと包摂したシーンあってくれよ!と思ってしまったけれど、それは僕らが大人だからで、ほかの感想でもあるように上手く「子供の世界」を描いている作品だし、そういえば子供の頃はこうやって子供だけで完結していたのだった

保護とか庇護という意味でも、距離感の取り方を、身につまされて思わず考えさせられてしまった

あーー、押し花の暖かさよ!!、!!!!!!