パイカルは美味しいのか

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!のパイカルは美味しいのかのレビュー・感想・評価

2.5
最近ネットでこの映画の予告編をたまたま視聴。
「嘘みたいに面白そう!!!」

ドラマも劇場版1、2もヒット。
ちなみに、このシリーズはなぜ人気になった?
脚本は全ての作品において、割と大味なのに。
あくまで私見ですが、「所轄」というものを描き切った斬新さと、湾岸署内の独特の良さげな雰囲気、あとはマニアックな小ネタでしょうか。

前者は、会社組織と重なるところもあり、また「仕事あるある」なシーンが結構あるので、疲れたサラリーマンの共感も得たでしょう。後者は、なぜかほっこりさせられるチーム湾岸署。キャラも皆さん好感です。
加えて松本晃彦さんの曲が良い。パクリ疑惑はあるけども。 (後任の菅野さんのスコアも好き。 織田裕二の主題歌だけがトホホ。彼は非常にプロフェッショナルな俳優さんらしいけど、自分の歌をどう思ってるんだろう…いつまでたっても、ちっとも上手くならない。歌はプロじゃなくても良いってこと?)


そして本作、踊る3。
当時、久しぶりの劇場版で、制作の方々、皆さん気合いが入ったのでしょう。色んなことを詰め込みました。大好きなドカジャンの木島さんも出ます。
しかし、残念ながら以前から大味だった脚本が、ついに無視出来ないレベルになりました。

「以前から脚本が大味」と書いたのは、ドラマも劇場版1、2も、所轄の現場のお仕事や本店、官僚とのやり取りなど、現実を切り取った演出をする一方で、核となるストーリーは非常にマンガチック。
派手な演出や猟奇的な犯罪、あるいはキャラの濃さで格好はつけるものの、中身はあまり無い。
この嘘くささが大味。
だけど今までは、前述の魅力のおかげもあり許容範囲内、むしろそれが味と言えたのかも。
だが今回の3で、その夢物語は、ついに破綻。中身をごまかす巧みな演出は健在ですが、話は途中から現実感ゼロ。フィクション丸出しでかなり安っぽいなっちゃってます。

観客が映画の嘘の部分を許容出来なくなったら、それ以降はまともに観ることは出来ません。「桃太郎」だって、桃太郎が急に巨大化して鬼をやっつけだしたら、「それじゃ家来集めた意味ないやーん」ってなるように、いくらフィクションでもやってはいけないことは、あります。
やってはいけないことで目が覚めてしまうと、目が冷めてしまうのです。
(巧いこと言った!!!)

加えてこの作品、後半に進むに連れ、非常にまったりしてきます。内容を詰め込み過ぎのはずなのに展開が遅いって、どういう時間配分ですか… もっと木島さんを出しなさい、木島さんを。

制作された皆様、今回は気合いが空回っただけなのか、それとも、もともとの実力なのか…

予告編はホントに秀逸で、また観たくなっちゃったけど。

(ほとんどネタバレ無しで長文。自分でも凄いと思う反面、本当は5行くらいで済むのかも…
これぞ演出でごまかし、中身スカスカの見本!)