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TOMORROW 明日のchiyoのレビュー・感想・評価

TOMORROW 明日(1988年製作の映画)
4.5
2015/8/24
1945年8月8日、長崎。結婚式を挙げる若い男女、出産間近の女性、赤紙が届く青年、道端で遊ぶ子どもたち。そこにあるのは当たり前の日常で、昨日から今日に受け継がれ、今日から明日へと続いていくはずだった光景ばかり。当然のように喜びがあり、当然のように悲しみもある。そんな人々の生活を、ただひたすら淡々と描く。が、翌日は長崎への原爆投下日で、今日が明日へと続かないことを知っている上で見せられる日常は、あまりに辛く胸が締め付けられる。そして迎えるラストは、長崎への原爆投下映像のみ。産まれたばかりの赤ん坊、愛する人と交わした約束、明日見れたはずの笑顔と涙、真夏の日差しと蝉の鳴き声。多くを語ることなく、たった1発の原爆が長崎から奪ったものを、静かに、でも強く訴えかける。優しくて温かい、断固とした反戦映画。改めて、失ったものたちの尊さを思う。
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