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どたんばのchiyoのレビュー・感想・評価

どたんば(1957年製作の映画)
4.0
2020/11/29
長雨による地盤の緩みで落盤事故が発生した、美濃平野にある亜炭発掘場。モノクロ映画なこともあって、背を屈めないと通れない坑道、押し寄せる泥水が余計に怖さを増す。そして、生き埋めになった5人の作業員。始めのうちは彼らの姿が描かれるものの、中盤以降はパタリと描写が途絶えてしまう。一方、外で繰り広げられるのは、救出とは関係のないことばかり。何の根拠もない韓国人に対する差別、作業員たちの死を想定して保証を求める家族たち、その家族に煮え切らない返答をする経営者。誰も彼もが“どたんば”なのは分かるけれど、本当の“どたんば”を迎えている5人の作業員を想う言葉が少なかったのが悲しい。そんなこともあって、終盤の救出劇は本当にホッとしたし嬉しかった。それにしても、経営者を演じた加藤嘉の表情の変遷が秀逸だった。
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