オーウェン

帰って来たドラゴンのオーウェンのレビュー・感想・評価

帰って来たドラゴン(1974年製作の映画)
3.5
「帰って来たドラゴン」は、1970年代の前半においてブルース・リー主演の「燃えよドラゴン」で火が付いた世界的なカンフー・アクション映画全盛の中で、おびただしい数の香港カンフー映画が日本で公開されたが、この映画はそうした中でもかなり面白い作品だ。

その名前のせいで、公開当時、ブルース・リーの弟子だとか、第二のブルース・リーなどと呼ばれていた、この映画の主演のブルース・リャンは、実は、1970年代の初めから香港映画界でスタントマンや武術指導をしていたのだが、そのあまりのカンフー技の凄さが認められて、その後、数多くのカンフー映画に主演したという経歴の持ち主なのだ。

特に、彼の2メートルも跳ぶ驚異的なバネを生かしたハイキックや、走りながら連続して行なう足蹴りなど、とにかく彼のキレのあるスピーディーなカンフー・アクションは、当時の香港、台湾の数あるカンフー俳優の中でも、ずば抜けた身体能力で、ひと際光っていたと思う。

この「帰って来たドラゴン」は、香港製のクンフー・アクション映画だが、コメディ・スタイルになっている。

ブルース・リャン扮するゴールデン・ドラゴンという風来坊が旅の途中で追剥しようとした若者二人を懲らしめて子分にする。
そして、三人はある町へ乗り込み、悪いボスの一味をやっつけ、絡んでくる二人組の小悪党も叩きのめしてしまう。

この二人の若者がコメディ・リリーフの役割を果たしていて、二人が乗るスクーターはティズニー映画「ラブ・バッグ」のミニカーのアイディアを拝借したみたいで、敵に追われるとお尻から爆竹を発射する007的なギャグも詰め込まれていて笑わせてくれる。

そして、映画の後半で、当時、東映の端役から引き抜かれて香港でクンフー俳優として人気を博していた、倉田保昭扮するブラック・ジャガーが主人公よりカッコよく登場して来て、チベットから持ち出された大きな真珠をめぐって、女闘士のウォン・ウン・ツェー扮するミアオと三つ巴の争奪戦になっていく。

最後は、教会の屋上で、もはや香港映画の定番ともいえる、くどすぎるくらいの延々たる決闘が展開するのだが、ここのアクションの振り付けは、身体能力の高いブルース・リャンと倉田保昭なので、かなり凝った面白さに満ち溢れていたと思う。
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