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東京公園のharunomaのレビュー・感想・評価

東京公園(2011年製作の映画)
5.0
白夜である。
三浦春馬のニュースは訳がわからないが、
東京公園からまだ10年も経っていない。
「奈緒子」という作品もあった。
RED ONEで撮られた、青山真治のベストとこの際言ってしまっていい。
われわれのあいだで。ある作品は、ある創作者にとって共有のクレーシスとなるのはいつの世も同じことだ。
他業種ながら、今年のあるスタジオで彼を目にしたのが、最後になってしまったが、おそらくコンフィデンスマン2ではなく、「東京公園2」が撮られるべきだったのだ。カーペンターよ。

それにしても風のようにポーカーフェイスとして颯爽と飄々とそれでいて優しく冷静に、世界と対峙していたように見える彼の在り方には、しかるべき重力を付与する物語と共闘する映画監督が必要だったかもしれない。公園に比べれば、ゼロ年代の表象などやはり何ものも生存に関与できないのだ。彼のデビュー作は「金融腐蝕列島 呪縛」という作品で、役所広司の幼い聡明な息子であり、悪太郎仲代達矢の孫という役柄だった。恐ろしく早すぎ、すべては恐ろしく遅すぎる。まさか仲代達矢よりも先に逝ってしまうとは。ままならない。目に見えないものを見ることはできないのだが、東京公園では「まっすぐに見つめる」ということがあった。微かな限りのなかで、しかしそれでも生は、見ることにおいて現れる。

映画のバーは目黒のカフェ、チャムアパートメントで撮影された。
https://chum-apt.net/

シュミットの『ヘカテ』と同様、
1カット真上からブームマイクが映り込む(22分)ことも傑作の証。
バルネット『騎手物語』、『私は猫ストーカー』はカメラの影。
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