Aya

エレファントのAyaのネタバレレビュー・内容・結末

エレファント(2003年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

あまりにも淡々としすぎている。いつもと同じ普通の日常の、一つの出来事のような。あと一年我慢すれば卒業。カウントダウン。来週はちゃんとするのよ。また今度渡すよ。あとで、次は。未来を指す言葉が沢山出てきて、当たり前だと感じている生活は必ず訪れるものではないことを痛感させられた。簡単に銃が手に入って、人殺しのゲームをやって、きっと彼らも沢山悩んで苦しんだのかもしれないが、それにしてもさほど大したことではなさそうに今日死ぬんだよねと、作戦を立てて、落ち着き払っている姿が、余計にほんの生活の一部の出来事に感じさせ、より残酷さを引き立てている気がした。一見普通の家庭の子にも見えたしね。もう少し分かりやすく狂ってくれていた方が遠い世界の出来事に感じるし、一周まわって怖くないだろうな。逆に怖い。多分それを狙ってのこの脚本、この演出なんだろうけど。これが銃規制のない国の当たり前なのかと恐怖した。
見終わった後、フィルムの儚い綺麗な映像も、実際に等身大の学生を起用し即興で芝居をさせるのも、ずっと続く長回しも、全て意味があるのが分かって監督賞を獲ったことに納得した。インタビューであった昔のエレファントの注意喚起のような影響の強い作品にする。長回しや学生の演技は日常の一部を見ているかのような気にさせて、誰にだってこんな出来事に巻き込まれる可能性は十分にあると、本当にこの世は偶然の連続で、世界は簡単にひっくり返ることがあると伝えるのに、強い効果があったと思う。それらを計算し尽くしてのあの演出の選択が流石だなと思った。
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