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エレファントのこへのレビュー・感想・評価

エレファント(2003年製作の映画)
4.2
コロラド州のとある高校で起きた生徒2人による銃乱射事件を題材として作られた作品。
監督のインタビューにもあったように無言で歩く背後を追うカットなど空白が多く、観客に考えを巡らせる時間が意図的に与えられる。同じ時間軸を過ごす数人の生徒にフォーカスしながら終始学園の風景が淡々と撮られるが、結末を予見させるシーンの挿入から空白を埋めるように息苦しさが雪崩れ込む。無装飾なサスペンス。
セリフはインプロで大枠以外は俳優に自由に演じさせたそう。監督はこの作品にメッセージはないとも語る。問題が問題のまま幕は降ろされる。主観が排除された素材を観て自分たちは何を感じるのか。
どこまでいっても答えがないからこの映画は成立していて、そんな問題に対して少なくともできることは彼らに想いを馳せることだろう。

この撮り方、ラリークラークのKIDSを思い出した。危うさを抱えながら退廃的な生活を送るティーンたちを彼は肯定も否定もしない。
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