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100歳の少年と12通の手紙のNYoLoのレビュー・感想・評価

100歳の少年と12通の手紙(2009年製作の映画)
3.7
白血病を患い死を間近にした少年と、歯に衣着せぬ物言いのピザ屋のおばさまの交流を通じた、「死」と「人生」について考えさせられるドラマ。

フランス語だし時折ファンタジーテイストなので「ムードインディゴ」を思い出しました。

死を前にした少年の気持ち、みんなが遠慮して生き生きと生きられない、そこは「マイフレンドフォーエバー」に通じるところがあったけど、違いは親の気持ちかな。友だちの役目は、今作ではピザ屋のローズ。ストレートに思ったことを言ってくれる稀有な存在です。

そもそも、他人の気持ちなど決して分からないもの。だから、少しでも「合う」部分がある人と出会えるのはとてもありがたいこと。彼らの出会いにそんな感想を持ちました。

さて、親の気持ちを代弁させてほしい。

愛する我が子がこの世からいなくなる、なんて、そんな恐ろしいことは考えたくありません。ほんとに、この世で一番、死ぬより嫌なことは自分より先に子どもがこの世から去ることだと断言できる。考えるだけで泣く。

そんな親に、この事態にすぐさま直面して強くあれ、なんて、親も人間ですもの、できるはずがない。自分の心を守りに入ってしまったことを責めないでほしいと思ってしまった。もちろん、一番恐ろしい思いをしているのは当の本人だと、頭では理解しているのよ。

それに気づけるように、ゆっくりと「死」を受け入れられる方法として、1日を10年の成長と表し、神様へ手紙を書くことを提案する(そこには医師の思惑もあるにはあるが)ローズは、その道のプロよりもプロすぎ!この辺はいかにも物語でしたが、ここを差し引いても良作でした。
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