このレビューはネタバレを含みます
てっきり単純なサクセスストーリーだと思っていたので、とてもいい意味での不意打ちを食らった。エンドロールが流れた後もしばらく余韻に浸った。
ボクシングと愛と苦悩、生死の絡ませ方がもうお見事だった。
モ・クシュラという言葉をマギーに贈ったダン。その意味を最期にダンから伝えられた時のマギーのあの表情が忘れられない。
生のために闘いつづけたマギーの引き際は、ボクシングでいうところの最高のパンチであったのだと信じたい。
本物のレモンを使ったレモンパイをダンと天国でどうか笑顔で美味しく頬張っていてほしいと願う。
ダン演じるクリント・イーストウッド、マギー演じるヒラリー・フランクの演技が素晴らしかったのはもちろんのこと(ヒラリーさんの運動神経にも大拍手)、スクラップ演じるモーガン・フリーマンもとてもいい味を出していた。素晴らしい関係性だった。
人生の幸せは命の長さはでないということを改めてイーストウッド監督に優しく諭してもらった気がする。
私も最後を迎える時に、いい人生だったと思えるように(正直そこまでの人間になれるかは自信はないけれど)、でも後悔を出来るだけ少なく思う人生を歩んでいきたいとは切実に思った。
「モ・クシュラ 〜愛する人よ、お前は私の血〜」