冷蔵庫とプリンター

潜行者の冷蔵庫とプリンターのレビュー・感想・評価

潜行者(1947年製作の映画)
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 けっこう面白い。POVの手法は『湖中の女』で全編通して採用されているが、今作は顔を変えてハンフリーボガートとして生き直すまでの序盤のみに留まる。先の見えない暗い道程でなんとか希望を見出そうとすることによって生じる、ある種のぎこちなさはさておき、技術面でかなり優れた映画で、整形手術までのPOV演出は技巧に満ち、そしてビルからの転落をこの上なく自然かつ大胆に描いた手腕は評価に値する。ロマンチックに解釈すれば、フィルムノワール的文脈から言って今作のラストは、ボガートとバコールのみに許される類のものだと思った。