りょう

レスラーのりょうのレビュー・感想・評価

レスラー(2008年製作の映画)
3.8
 ボクシング映画はたくさんありますが、プロレス映画は意外と少ないような印象です。当時はダーレン・アロノフスキー監督がなぜこのテーマを映画にしたのか不思議でした。それまでの作風を一変させたドキュメンタリー風のざらついた映像と手振れのある撮影で表現されています。主な登場人物はラムとキャシディとステファニーの3人だけですが、いいところもダメなところも徹底的かつ客観的にラムの日常を描いているので、いわゆるスポ根に登場する劇的な出来事がないにもかかわらず、物語の展開がとても興味深いものになっています。
 それにしてもミッキー・ロークの熱演ぶりがすさまじいです。彼の実生活である俳優人生とのシンクロもイメージしてしまうので、ラムへの共感度が上昇します。個人的に実際のプロレスには興味ありませんが、レスラー同士がこんなにも友好的な関係にあることが救いでした。リングで敵対心むきだしで格闘する姿からは想像できません。プロレスがスポーツか興行かという論争は尽きませんが、彼らが究極のプロフェッショナルであることは間違いないのでしょう。
 全編にわたって使用される80年代のアメリカン・ハード・ロックが懐かしいです。序盤のカーステレオから流れるCinderellaの“Don't Know What You Got (Till It's Gone)”や再現マッチの入場曲で流れるGuns N' Rosesの“Sweet Child O' Mine”は高校生のころにリアルタイムで聴いていたので、少し感涙ものでした。
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