シネマヴェーラ渋谷で鑑賞。
大映が多く製作した三話オムニバスの逸品。狸御殿映画の木村恵吾だけに、全体にミュージカル的な女優アンサンブルの趣きがあり、ポンポン飛び交う台詞とセット空間を活かした画作りに映画の愉悦が詰まっている。
第一話の熱海温泉街の中村玉緒、二話目の都会のマンションの愛人二人に野添ひとみと紺野ユカ、そして三話目の浅草の踊り子・叶順子と適材適所で魅力を振りまくが、やはり浅草のレビュー小屋の叶順子と老夫・伊藤雄之助の一瞬の交流を描く三話目に木村の思い入れはあるように見える。
一話目、岸田今日子と玉緒ちゃんの「世の中お金やもん!」の泣き笑いに大映永田イズムを感じる。洋装という意味ではやはり第二話、野添ひとみのセクシーさにくらくら。叶順子は踊り子姿がなんとも素敵。椅子と寂しいダンスを踊るシーンの切なさ。メタ的なエンドクレジットの出し方も気が利いてる。