弓

北京ヴァイオリンの弓のネタバレレビュー・内容・結末

北京ヴァイオリン(2002年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。
登場人物もみんな良い人で愛しくなった。
が、最初から最後までチュン少年にはムカついた!
親の心、子知らずとはまさにこのことだ。リウ父さんがこんなにも息子の成功を願って頑張っているのに。
一生懸命働いてお金を貯めて田舎から北京に出て、良い先生を探し、しかも更に良い先生がいれば思い切って先生を代えて、息子の為にセーターまで編んじゃうし。この無償の愛に涙が出ちゃうよ…。
それなのになんだ?!チュン少年は!
母の形見のバイオリンは売っちゃうし、そして極めつけはあのラスト!
もう腹がたつなぁ。
父親の愛に報いないのも腹が立ったが、なによりせっかくの自分の才能を伸ばそうとしないのが腹が立った。最後の演奏が圧巻なだけによけいに悔しい。
ユイ先生が「リンの演奏は技術だけで心がない。しかしチュンには心がある」と言っていたから、チュン少年はいろいろな葛藤を経験して最後は素晴らしい演奏を選抜会で披露するのだと思ってムカつきをなだめながら観ていたのだけどなぁ。
 
ユイ先生の指導のセリフは中国人らしく雄大で好き。
「君は音楽の天使となって音楽で観客を征服しろ。天国の暗闇の中で天使だけが光だ」
漢詩みたいだ。

よく分からなかったシーンもあった。
なぜチュンはリリと男のカップルを初めて見かけた時ついていったのか? なぜふたりがイチャイチャしてるのをニヤニヤ眺めていたのか? なぜリリはその後チュンにお金をあげたのか?
なぜチアン先生はベッドの下に黒い靴下がないと嘘をつかれて嬉しそうだったのか…
地味に気になってしまった。

それにしても本作にしても「僕のピアノコンチェルト」にしても「セッション」にしても音楽映画のラストは圧巻の演奏で終るというパターンが多いなぁ。
いや、好きだから文句ないのですけど。
弓