えいこ

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのえいこのレビュー・感想・評価

4.8
天分の才は人を幸せにも不幸にもする。辛い幼少期を経て成長したウィルの周りに、幸せな出会いがあってよかった。生い立ちの酷い部分をあまり描かずに、ウィルの現在に絞って、脚本も映像も美しく仕上げている。若い頃に観た「ドラッグストア・カウボーイズ」のイメージと随分違うガス・ヴァン・サント監督。

マット・デイモンとベン・アフレックの共作脚本とのことだが、演じる2人もとても魅力的で生き生きとしている。受けとめるロビン・ウィリアムスも流石の安定感。カウンセリングは心のぶつかり合い。先生と患者でありながら、相互に踏み込み、お互い影響されながら、それぞれが自分の道に踏み出していく姿に泣く。

ウィルのような若者は、現実では(特に日本では)たとえ社会的経済的環境に恵まれたとしても、人間関係の中で様々な障壁にぶつかる。周りを見渡して自ら才能に蓋をしたり、近しい人間の嫉妬でその才能を潰されたり。本作では、そうした人間関係の汚い部分にあまり踏み込まない。

親友であるチャッキーが、ウィルの背中を押す台詞、工事現場でのあのひと言。そして、最後に迎えに行った時の玄関でのチャッキーの表情が沁みる。

生き方や価値観は違えど、お互いを認め合うジェリーとショーンの関係にも惹かれる。

清々しい後味の良作でした。
えいこ

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