高円寺ぱか

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちの高円寺ぱかのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

心を歪まされた天才が大学教授に発見される。/全員善人の世界。

自分は少年漫画脳なので、泣かせるものに対して防御癖があるのだが、本作はこれしかないという経路で胸を突き刺してきた。

ポイントはやはりショーンの語る恋人と親友のくだりだろう。恋人はわかりやすいのだが親友の話はあくまでさりげなく。さらにベン・アフレックが無神経ぶりを遺憾なく発揮しているので、彼の工事現場のシーンは理想的だった。一度は期待した、けれど諦めた、なのに…という意味の"予想外"ほど素敵なものはない。最後、誰もいない部屋を見てチャッキーが微笑む下りももちろん泣いた。

マット・デイモンが天才的だ。卓越した頭脳の持ち主でありながら、心傷ついた少年でもある。それを両立させるのが「無邪気」という一線にあることを、彼の演技から気付かされた。もうめっちゃくっちゃかわいいのだ。かわいいは正義。

また、細かいシーンもうまい。暗号のところからカウンセリングに映る流れがうまい。

でもやっぱりベンアフレックの最後の表情、すごい。泣いちゃう!



MIT数学科ジェラルド・ランボー教授が廊下に貼り出した超難問を謎の人物が解いてしまう。その正体は掃除夫ウィル・ハンティング。スラム育ちの前科持ちだった。

ウィルは仲間たちとハーバード女子大生をナンパしに行く。親友のチャッキーをハーバード大学の衒学者が馬鹿にすると、ウィルが返り討ちに。そこでスカイラーと知り合う。あくる日、野球観戦の帰り道、保育園時代のいじめっ子に暴行を加え逮捕される。

ランボーは身元を引き受け、週一の面会とセラピーを義務付ける。共に証明をこなしていく一方、持ち前の博識でカウンセラーを煙に巻くウィルに窮したランボーは、元ルームメイトの心理学者ショーン・マグワイアに頼る。

ウィルはショーンの妻を嘲り煙に巻こうとするが、ショーンはハッキリと激怒する。頑なに沈黙するウィルだが、ショーンは共に沈黙を保つ。

ショーンは、ウィルが自分の経験ではなく本の引用だけで語ってくることを突きつける。君の話を聞きたい。ウィルは根負けし、少しずつ語り出す。

お返しに、ショーンは妻と親友の話をする。妻は数年前に病死したが、18年間ずっと愛していた。「大事なのはお互いに完璧かどうかだ」声をかけたのは友達と行ったとある世紀的な試合のときだった。ウィルは信じられないと笑うが、親友はショーンを送り出してくれたという。

ウィルはスカイラーとデートをするが、二度目に踏み出せない。ショーンの励ましを受けて声をかけに部屋に赴くが、宿題中でダメだという。一瞬見ただけの宿題をすぐに解いて、答えを渡して「もう待てない」というウィル(超かわいい)。二人は関係を進める。分け隔てないスカイラーを、ウィルの仲間たちも歓迎する。

ランボーは就職先を斡旋するが、ウィルは欠席し続ける(ショーンが代わりに行って金を巻き上げる)。才能を惜しむランボーと、あくまで彼自身を見つめようとするショーンは対立する。

ウィルが家庭環境について吐き続けていた嘘をスカイラーは見抜いていた。本当の自分を見せて欲しいと思うスカイラーはカリフォルニアでの同棲を願うが、ボストンから出たことのないウィルは愛していないと拒絶してしまう。さらに才能の発揮を押し付けるランボーにも悪態をつく。

そうしたウィルを諌めたのはチャッキーだった。チャッキーは20年後も同じ街にいたら殺すと語り、いつか朝迎えに行ったらお前がいないことを夢見ているという。

ランボーはショーンを詰める。お前の方が頭が良かったが今では成功しているのは俺だ、というランボーに、ショーンもまた激昂して言い争いに。そこに現れたウィル。ショーンはウィルの虐待の跡を記した書類を手に、君は悪くないと言い聞かせる。ウィルは泣きながら謝る。

ウィルはランボーの紹介した企業に面接に行き、務めることを決める。ショーンとの最後の面会はあっさり終わり、ショーンは旅に出ることを告げる。チャッキーたちはウィルの21の誕生日にボロ車を贈る。

ショーンの旅立ちの日に、ボロ車が軒下に止まる。郵便受けを見ると、簡単な手紙。チャッキーたちはウィルの家が空なことに気づく。チャッキーは数度、片頬をあげる。

手紙の内容は、ランボー紹介の会社をすっぽかすことへのそっけない謝罪と、彼女がいるということだった。俺の言葉だと苦笑するショーン。車はカリフォルニアへ向かう。