高円寺ぱか

スター・トレックの高円寺ぱかのネタバレレビュー・内容・結末

スター・トレック(2009年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

謎の巨大宇宙艦との戦いで、生まれた日に父と死別したカークは、鬱屈した幼少期を過ごす。バルカン星人のスポックも、人間とのハーフであることを嘲られる日々を送っていた。

スポックは優秀な青年になり科学アカデミーからの推薦を蹴って宇宙艦隊に入る。長じたカークは酒と喧嘩に明け暮れるが、父の部下パイク大佐の誘いを受け宇宙艦隊に。三年後、カークは候補生になるが、コバヤシマル・テストで不正を働き停学。同時にバルカン星に嵐が起き救援を求めていると報が入り、パイク船長の下U.S.S.エンタープライズは候補生だらけの処女航海に。

謎の巨大宇宙艦はワープから現れる船を出迎える。ロミュラン星人の船長は憎々しげに「待っていたぞ、スポック」と呼びかける。

カークは乗船を禁止されるが、友人レナードの機転で病人として入り込む。カークは状況が25年前の巨大宇宙艦戦と酷似していると指摘し、その通り、ワープ後のエンタープライズの前には先行した船たちの残骸と巨大宇宙艦だった。敵の船長ネロはパイクに来るよう求める。

巨大宇宙艦より突き出たビーム状のドリルがバルカン星を貫き、それによって転送と通信が妨害されている。パイクはスポックを船長代理にして、カークと操縦士スールー他1名と離艦。三名は途中でスカイダイビングをし、1名の犠牲を出しながらドリルの停止に成功。一方、パイクはネロの拷問を受けてしまう。

ネロらはバルカンに「赤色物質」を撃ち込み、ブラックホールを生成。スポックは転送で地上に急行し、父母と長老らを助けに行くが目の前で母を喪ってしまう。

スポックはネロらが未来からきたのではないかと推察。本部に戻り協議すると方針を打ち出すが、カークはそれでは間に合わないと猛反対。スポックはカークを船外に放出してしまう。しかし降り立った惑星でカークは129年後のスポックと出会う。未来のスポックは超新星爆発からロミュラン星を守ろうとしたが失敗し、なんとか赤色物質で余波は防いだが、ネロ諸共ブラックホールに呑まれ時を超えたという。ネロらは歴史を書き換え、ロミュラン帝国を築こうとしている。

カークらは近くの連邦基地に向かう。そこにいた研究者スコットは未来ではトランスワープ転送の発明者であり、ワープ中の船への転送が可能になる。スポックと別れ、エンタープライズに戻ったカークとスコットは、スポックを挑発することでその精神的破綻を自覚させる。カークは船長に代わり、巨大宇宙艦への侵攻を指示する。

元々、スポックはバルカン星人の教えに従い、感情に従うのを否定してきた。だが父によりそれを肯定され、ウフーラの支えもあって立ち直る。カークはスポックとともにネロの宇宙艦へ転送される。が、そこは敵のど真ん中。銃撃戦でなんとか逃げ延びる。

二人は赤色物質を搭載した船にたどり着く(実は未来のスポックが乗ってきた船)。顔認証を通ったスポックはこの船を使い、作戦を開始する。

カークはネロと対峙。窮地に追い込まれるが、スポックが船を宇宙艦に向け始めたところで、隙をついてなんとか脱出。パイク船長の元にたどり着く。一方スポックは船を特攻させる。そして三人とも直前で転送。赤色物質により粉々になったネロたち。

スポックは最後、未来の自分と会い、感じたままに正しいことをなせと助言を得る。カークは正式にエンタープライズの船長となった。



言わずと知れた王道スペースオペラ。未熟な候補生たちの処女航海が、ピンチと内部対立に満ちた波乱万丈な旅になり、その結果、勝利と友情を獲得するという正統派ストーリー。ありふれているようで、こういうのを探し当てるのはなかなか難しい。
とりわけ主役二人の成長を幼少期から追えるとことんな構成は、本当にレア。この僅かな挿話が含まれるだけで感情移入が段違いになると、改めて学んだ。
ただ、その王道の裏返しとして、脇の甘いストーリーになっている。それは意図的にしていると思うし、まあいいのだけれど、めちゃくちゃな字幕によってその脇の甘さがどこまで原作の意図なのかわからなかったのは非常に残念だった。