カットニス

レミーのおいしいレストランのカットニスのレビュー・感想・評価

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観れば観るほど愛する映画になっていく。

この映画は、ディズニー映画では少ない母国語でのテーマソングだと思う。色々な細部でフランスをリスペクトしているのが観られる美しい映画…

自分が何者であろうと好きなことに本気で喜びを感じながら生きるレミー。それでも立場上は理不尽なことだらけだし壁だらけ。
『誰でも名シェフ』『偉大なシェフはどこからでも生まれ得る』
原題ratatouille、これは私のフランス人の元彼が作ってくれたくらい、誰でも作れる家庭料理であって、身近で温かい存在なものだと思う。何処にでもあるけれど、必要で大切な何処か特別なもの。
この作品は、家族を中心とする「愛」をこの料理で表現できているような気がする。求めるものや喜びは近くに転がっていて、エゴや反発の気持ちを克服すると心からまた愛せるようになる。

その中で自分がやりたいことを追いかけることができる喜び、選択できる喜び。これもまたどこか、サルトルの考えに繋がってフランスを感じる。
この題名を思いついた時の彼らの気持ちったらないだろうな…素晴らしい…

ねずみにぴったりだけどフランスらしいおしゃれなサウンドトラックも印象的。

また、今の時代めんどくさい形式で語られるフェミニズムはコレットが全てうまく表現しているのよ。完全とは言わないけれど、とても良い。男撃退のものを持ち歩いている前提が小さい私にはわからなかったけど、強い女として生きていても女である限りは危険であって怖いっていう気持ちを持っている。どんなに相手が弱くてもそこは越えることが難しい性別の垣根。
でも彼女は本当に本当に素敵なキャラクターで、憧れが止まらない。最初に英語で聴いたとき、日本語ではわからなかったアクセントが中々に強くてもっとmake senseした。

思い出すだけで豊かな気持ちになれるような大好きな映画の一つです。