ピンナップガールを見つめながら女を想う囚人が悲しい。八代亜紀の「雨の慕情」を思い起こす。
監獄といえば看守長。人情味のある看守長もあれば謹厳実直な看守長もいる。コメディではマヌケでしくじるなんていうこともある。本作の看守長はサディスティックというのかこころに病のあるパラノイアと言うべきか、そんな怪人。彼が現れると同時に囚人が静まり返る。恐怖による征服を果たしている。
その看守長と囚人の争闘が最終的にはとてつもない暴力に発展する、という話になっているのだが、任期付きの契約所長やら飲んだくれの監獄付属の医者などが絡みヒエラルキーなども見せている。
でも最も印象的だったのは脱獄計画を権力側に報告し仲間を売った裏切り者に対する粛清。金属音を過剰に響かせ機械音を防壁にしてトマトケチャップ。陰険にもほどがある。
わたしが観た監獄映画作品の中では一番容赦のない作品です。
1947年製作公開。原作ロバート・パターソン 。脚色リチャード・ブルックス 。監督ジュールス・ダッシン 。