のんchan

四川のうたののんchanのレビュー・感想・評価

四川のうた(2008年製作の映画)
3.8
ジャ・ジャンクー監督作品3本目鑑賞。
こちらはセミドキュメンタリードラマでした。

四川省成都市で50年の歴史を持つ巨大国営軍事工場の閉鎖が決まり、商業施設に生まれ変わる。
3万人の労働者が失業し、10万人の家族は"故郷"を失うことになる。

そこに勤めていた人、その家族の大勢がインタビューされて答えている。その中に4人の役者が挟まり、住人に成り切って自然体の演技を見せている。

工場が"故郷"だと言う人たちの日常的なエピソードの数々。
まるでNHKドキュメンタリーを見ている感覚。
監督がインタビューしている。
国が違っても親子の絆、愛情はなんら変わらない。
仕事、生活がそこにあった人々の言葉は真実の重さがあった。

工場の敷地内には学校から、病院、映画館、プール、飲食店...全てが揃っていて隣町へ行く必要性がなかったと。

大躍進政策、文化大革命、高度経済成長、繰り返される繁栄と衰退、中国が目まぐるしく変化する様をカメラが捉えている。

監督が労働者たちへの尊敬を込めて、ポートレート的な撮影を試みている。労働者の一人一人が皺があろうが良い顔をしていて、人生を一枚の写真に収めている感じが素敵でした。

4人の俳優、ジョアン・チェン、リュイ・リーピン、チェン・ジェンビン、チャオ・タオの演技はさすがでした。
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