井伏鱒二の原作を渋谷実監督が映画化。
柳永二郎演じる町医者とそこを訪れる人々の交流が描かれる。
本日休診を謳っても容赦なく様々な病気を抱えた人がやって来る。喜劇らしく戦後の混乱をそこまで感じさせずほのぼのとした作品だが所々で辛辣さがあって鋭い。何よりキャストがあまりにも豪華で驚く。
若き日の後のスターが続々と登場して飽きない。
戦争後遺症でおかしくなった三國連太郎、町医者の開業後の最初の客を母に持ち帝王切開で生まれた佐田啓二、もうこの頃からヤクザな役を演じている鶴田浩二、そんな彼の女役で病に伏せる淡島千景、そして看護婦の岸惠子と錚々たる面々。
これだけの中で特に三國連太郎が出色のパフォーマンスを魅せていて戦争PTSDの怖さが浮き彫りになっている。
実際このように戦争が暗い影を落として苦しまれた方が多くおられたと聞くため何ともいえない気持ちになった。
代書屋の看板が映ったり貧しくも古き良き時代を思わせられて好きだった。
