うまお

トニー滝谷のうまおのレビュー・感想・評価

トニー滝谷(2004年製作の映画)
4.0
ムダのない画づくりは流石の市川監督。
そんな余分なものが削ぎ落とされミニマリズム溢れる作風だからかこそ、服をたくさん欲してしまうマキシマリストっ気のある妻の存在が際立つ。
さらに日本一、演技のストックを持ってるをイッセー尾形に引き出しを開けさせない選択をする演出がすごい。普通、もっと色んなイッセー尾形を見たくなるはずじゃん。
でも引き出しを開けないからこそ、より滲み出てくるイッセー尾形の立ち振る舞いが素晴らしい。
ストックがあるからこその引き算。

とはいえ、兼ね役で父親役をやってるときの彼の楽しそうな姿が印象的。その辺の捌け口を作ってあげるあたりが名監督たる所以なのか。笑

あえてかなりの余白を残していて、それでいて説明不足というわけではなく。
原作も読みたいと思ったし、何よりこの映画自体に、まるで小説を読んでいるかの如く、想像力を掻き立てられた。
村上春樹作品の透明感と静謐さを上手く映像化した名作。
うまお

うまお