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「トニー滝谷」に投稿された感想・評価

0814

0814の感想・評価

4.0
なかなか作れる映画じゃない。
監督の手腕に驚きます。

西島さんのナレーションを中心に、
あくまで、映像はインサートのように、
言葉よりも情報量が上回らないように、
吹き抜けのセットに風を感じる画は芸術的。

市川準さん、撮影の広川さん好きです。
無駄がなく美しい映画だった。

村上春樹原作の実写化は難しく、映画には監督に描き方の手腕を問われる作品が多いなか、限りなく村上春樹が読者に与えたかったであろう印象に近いタッチで映画を作ることに成功しているように見えた。

観客に小説的な読後感を生み出すため、横ドリーやFIXのカットが多用されていたり、人物を全員見せない限定的なアングルを切ったり、メタ表現を使った演劇的な台詞回しを行なっているのだが、同時にそれらの技術的な表現が「過去と現在との対峙」「他者や自身との対峙」を区分して演出してる点も良かった。

ただ、物語の起承転結に重きを置いて映画を観る人には厳しい映画だとは思う。
機械っぽいおっぱいしかかけない
自分を表現できるものが服だけ
横浜の広大な空き地にセットを組み立てて撮影
坂本龍一
映画の問題ではなく、原作が合わないんだと思う。
村上春樹の作品はある年代で遠くなりました。本作品のように、無機質で表面を記述し空虚を描いていて、この独白がめんどうと感じるようになったから。

本作は、両親の愛情に恵まれなかった男(イッセー尾形)が、美しい服を身にまとうことで自信を満たしていた洋服依存症の妻(宮沢りえ)を突然失い、その喪失感を描いています。

テーマは自身の欠乏感に気付けないこと。

「孤独」って一人称の主観を表す言葉であり、「あなたは孤独だ」は「あなたは悲しい」に匹敵するくらいおかしな表現。それを三人称の視点で「彼は孤独だ」と言うなら、「彼」に彼の孤独を一人称で語らせ表現してほしくなるが、どこまでも三人称の視点であり、「彼」は何を感じているのか、生身の人間が出てこない。これは「彼女」に置き換えても同じ。
どこまでいっても、夫は「表皮(彼女の服)」の中身(彼女)を語らない。

これって、難解と言われていた「バーニング」でヘミがみかんの皮を剥くパントマイムと同じ。「無いことを忘れること」が大切と言っていたシーンと被る。

夫は妻と出会って、「初めて自分の孤独に気づかされた」と言うが、彼女のことを説明するのに、表面的な記述と機能を語る。冷たくはない。無理解でもない。優しい無機質。彼女の欠乏感を理解しようとしなかった。彼の欠乏感は彼女によって一時的に埋められたが、彼女の欠乏感は夫では埋められなかった。彼女の依存症はなぜなのか?何に自信がなかったのか。相手の気持ちに寄り添うこともなかった。

これも「ドライブ・マイ・カー」と被る。

消費するだけでは満たされない欲望社会に囚われた人間の空虚を描いているとも言えるが、深読みでしょう。

村上春樹はどれを読んでも、満たされない人間と無機質な人間が出てきて、私は満たされないです。空虚が伝播される。

(原作(未読)の)空虚さは、イッセー尾形と宮沢りえのドライな演技で表されていました。


◆追記◆

この作品には相手(他者)に向き合った二人称の言葉が出てこない。妻の死後、妻の元彼と偶然出会い、元彼が「アイツ」と親しげに妻を呼ぶのを夫は嫌がる。そこだけが人間関係が濃くて近い。

2022 / 35

控えめな音楽、淡々と読み上げる語り、語りの間に続くように差し込まれるセリフ、温度のない映像。スクロールでのシーン変更が印象的。
境

境の感想・評価

4.2
村上春樹の小説は読んだことがなかったけど、これを機に読んでみようかなと思えた美しい作品。
終始淡々としていて、それでも場面の切り替わり、絶妙な間、ナレーションの聞きやすさ、入りやすさなどが全てよかった。
sakura

sakuraの感想・評価

4.0
坂本龍一と村上春樹の親和性
お互いの作品から感じられるものって人間関係の空白みたいなもの
内側のものって外まで滲み出る

宮沢りえが演じた妻の気持ちがわかりすぎるし、物を必要としない見知らぬ女みたいな人がいることも事実

私自身そろそろ暮らしについて再検討しなければいけないかも
トニーは生涯孤独と言えるんですかね
坂本龍一が音楽担当だったとは
美術が素晴らしい。
イッセー尾形が素晴らしい。

それでも縦軸がない脚本は退屈に感じる自分がいる。
もとは小説だし、縦軸抜きにキャラの主観を楽しむ趣旨は分かるが、いまいち乗り切れない…
それがわからない自分が歯痒い。
Ringlin

Ringlinの感想・評価

3.6
導入から流れる音楽が素晴らしいと思ってたらエンドロールで坂本龍一、なるほど。

全体的にナレーションによって構成された映画なため映画といより本を音読したものに映像をちょっと付けたみたいなイメージの仕上がりに。

監督の小説上での文章に対する愛着を感じたけど、
宮沢りえさんなどが出演してるのにも関わらず、ナレーションのせいで映画の登場人物との隔たりを感じた。

ストーリーや左から右に流れる映像構成はとても素敵。
2時間に満たない見やすい長さの映画。
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