言語化できない芸術を他人と共有したいと願うことが、孤独と苦しみを産む。
天才の頭の中は常人には窺い知る事はできないし、彼らそれぞれの幸せは、普通の人間の尺度では測れない。僻地の離島に暮らす人々に、都会に暮らす僕らと同じ暮らしを提供することの愚かさにも似て。
読者がプレゼントしてくれたチェロを届けたまではよいとして、更生施設に入れたりアパートを用意したりして路上生活から抜け出させようとサポートしたり、市長を動かして地域への補助金を増やしたら街を浄化する目的から路上生活者が追い出されたり、リサイタルを開かせようとしたら発作が起きたり…献身的な行動がすべて空回りしていく。
「地震も止められなかったし、LAも簡単には良くはならない、そしてナサニエルも治せないわ」という元妻の言葉は冷たいようで優しい。
ジェイミー・フォックスの演技は少し過剰にも思えたけど、ロバート・ダウニー・Jrはもはやトニー・スタークにしか見えないけど改めて「あぁ、演技うまかったんだな」と思わされます。
価値観を押し付けず、そばに居てあげられる友人。実話だと思うとなおさら、いい映画でした。
