みけ

エンジェルのみけのレビュー・感想・評価

エンジェル(2007年製作の映画)
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冒頭、驚くほどに古くさい演出と演技、物語展開に、「これは本当にフランソワ・オゾンなのか?」と思わずにいられない。
しかし物語が進むにつれて納得。この古くささは、まさに主人公の「虚構」それ自体を体現している。教養もないが想像力(妄想力?)はやたら豊かな彼女の小説、そして彼女の人生そのものだ。
このメタな構造がなかなか気がつかれにくいとしたら、そこがこの映画の難点か。
しかしファスベンダーはいい。息を呑む美しさと彼の演技の重層性が、まさに妄想に溢れた虚構と皮肉めいた現実を行き来させる。
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