おっさん

ゴジラのおっさんのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1984年製作の映画)
3.9
塚口サンサン劇場にてフィルムで鑑賞。


平成ゴジラシリーズの先鋒的作品で初代ゴジラ以外の設定を無くし、一旦整理した初代とシンに近い、ゴジラが過去に一度世界に現れた設定。

丸っこくて可愛いゴジラです。愛嬌があって一番好きなゴジラ。

内容は子供向けなようで、都合のいいバカな大人がたくさん出てきます。特に外国勢が酷い。
冷戦当時の空気は知らないがいくらなんでも...と思いました。

それ以外の点に関しては、おおむね素晴らしい映画だと思いました。

CG無し、特撮エフェクトのみと言う制約で作り上げられた当作は見応えが凄く、押しつぶされる原発、崩れゆくビル群、鯖折りになる新幹線。

スクリーンの中で壊される街と遠慮のない大爆破は圧巻。CGでは得られない快感、特撮の醍醐味って奴です。


カッコいいカットもかなり多い。特撮スタッフが故、撮影に対する設計はかなり細かく練られています。
手前に大きなナメモノを配置し観客の視線を制約する、いわゆる実相寺アングルが随所に盛り込まれていて、一般の映画ではあまり見られない決まった絵が多いです。


シナリオも群像劇な割にしっかり話が分かりやすく、軸になっている新聞記者の牧と総理大臣だけを追いかければ何が起きているのかちゃんと理解できる。
ゴジラは、1人のヒーローが対処するのではなく日本人達が対処すべき災害・事件として描かれていて日本のifを見ているようで、ちゃんとした恐怖を感じ、驚いた。

あと、「核爆弾が成層圏上で爆発したら」みたいな科学考証がストーリーにちゃんと組み込まれているのも、子供向けながら手を抜いていない良い作品の証だと思いました。


最後にラストシーン。本当に良かった。他のゴジラ映画のラストでは到達出来ない、更に奥の境地。
こればっかりは、考えさせられるし涙が出そうになる。非常に切ない。


2019年も中頃に入ってまた、ハリウッド版の新作も公開を控えている良いタイミングで本作を劇場で観れて幸せでした。怪獣映画は大スクリーンに限る!

あと、武田鉄矢は要らんかった。
おっさん

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