tKo

ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつのtKoのレビュー・感想・評価

3.6
洋楽を聴き始めたのが遅かったせいもあって、人生においてビートルズやジョン・レノンに特別な関心を抱いた事は特になかったのですが、この作品はとても大好きな作品になりました。とにかく複雑なジョンの家庭環境。思春期という難しい時期に二人の母親、二つの家族があるが故に苦悩し続けるジョン。子供に親を選択させるのは本当に残酷なことだと思う。けれでもそことちゃんと向き合って乗り越え、許すことを選ぶ強さ、それぞれの母親の愛に答えた優しさには思わず胸を打たれた。さらに生みの親ジュリアに再会したことによって始めたバンドが後のビートルズ結成へ繋がっていくのも何より興味深い。50年代の音楽に影響を受けまくってたんだなーなどバックボーンも垣間みれて、ジョン・レノンのことを知るのに申し分ない出来でした。両母親を演じたクリスティン・スコット・トーマスとアンヌ=マリー・ダフもさすがですが、主演のアーロン・ジョンソンの『キック・アス』の時とは違う繊細な演技が目を引くそんな作品です。98分とコンパクトに纏まっているのも何より。
tKo

tKo