はるな

コマンダンテのはるなのレビュー・感想・評価

コマンダンテ(2003年製作の映画)
4.0
フィデル・カストロとの一問一答をまとめたインタビュー集。映画としての展開のおもしろさはない。

個人的な事柄からキューバ革命〜アメリカ侵攻〜キューバ危機などの歴史的な事象、各国首脳の印象、政治にかける思いなどなど、幅広い話題に触れていく。個人名や事件名など、説明なく進んでいくのである程度の事前知識が必要です。

『カメラが捉えたキューバ』を見ると、キューバの政策がうまくいったとは言えないけれど、このインタビューを見ていると、どんなときも国民のためを思ってもがいていたことがよく分かる。

教育や医療、住まいを提供したり、他国の学生はすべて学費無料としたり。キューバの選挙制度が、各地域の住民全員参加で議員を選ぶ方式だということも初めて知った。「我が国の選挙は世界で最も民主的だ。(中略)党は選出もせず候補も立てない」とフィデルが豪語する通り、素晴らしい仕組みだと思う。

エリアンくん事件について「彼は8回も流産した末に生まれた子どもだったんだ。私は国の代表として、親の思いに答えるべきだと思った」との答えに、政治家としての計算を超えた思いやりを感じた。

また、「もっと良くできたのでは?」との問いに頭を抱え苦しげに「そう思う」と答えたり、「同性愛者への差別はあった?」との問いに「男らしさを尊重する風潮、男尊女卑の精神、同性愛者への差別はたしかにあった」と認めたりと、弱さを真っ向から認める姿に正直さを感じた。

彼が、ゲリラ戦というある種の暴力を経て権力の座についたことには完全に同意できない。でも、自分の国の政治家がフィデルのようだったら…と思わずにはいられない記録映像だった。

コメント欄に、記憶に残った言葉をメモしておく。

▼キューバについて参考になったURL
https://www.huffingtonpost.jp/2016/02/18/cuba-88years_n_9268648.html

https://toyokeizai.net/articles/-/273482?page=5

https://web.iss.u-tokyo.ac.jp/crisis/essay/1962.html

https://ja.isecosmetic.com/wiki/Eli%C3%A1n_Gonz%C3%A1lez

http://www.silverboy.com/silverboy/op200011.htm
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