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ヤンヤン 夏の想い出のiszkaのレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
5.0
不幸な家族には、
それぞれの不幸な形がある。

アンナカレーニナの冒頭を思い出した。

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人生は複雑ではない。
複雑に見えるだけ。

私が見えているもの。見えていないもの。
その2種類。

映画は、私たちが取りこぼしてしまう現実を見せてくれる。
ちょうどヤンヤンが撮った写真のように。

だから、人生を倍にしてくれるのだ。

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人生をやり直すチャンスがあった。
けれど、やり直す必要なんてないのだ。

ただ一直線に過ぎていく時間を、
どうにか腐らずに生きていく。

きっとこれからも何かを見落としてしまうのだろうけれど、それはそれとして、受け入れていこう。

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とにもかくにも私は人生を映す映画が好きなのだと再認識。

作中でも述べられているとおり、
映画は人生を倍にするし、
最後にヤンヤンが祖母へ述べている言葉はエドワードヤンの映画への誓いにも聞こえてくる。
それ故、遺作になったことが本当に残念なのだが……。

人生、夏、ピアノの旋律
好きな要素が散りばめられている。

虚飾がなく、
撮る者の不在を感じさせるショットは、
より映画=人生の図式を強調させている。
この図式に台湾の街並みが1番合っているのかもしれない。

これはあくまでヤンヤンの物語であるという前提から、人生への愛を感じ取ることが出来る。
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