不幸な家族には、
それぞれの不幸な形がある。
アンナカレーニナの冒頭を思い出した。
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人生は複雑ではない。
複雑に見えるだけ。
私が見えているもの。見えていないもの。
その2種類。
映画は、私たちが取りこぼしてしまう現実を見せてくれる。
ちょうどヤンヤンが撮った写真のように。
だから、人生を倍にしてくれるのだ。
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人生をやり直すチャンスがあった。
けれど、やり直す必要なんてないのだ。
ただ一直線に過ぎていく時間を、
どうにか腐らずに生きていく。
きっとこれからも何かを見落としてしまうのだろうけれど、それはそれとして、受け入れていこう。
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とにもかくにも私は人生を映す映画が好きなのだと再認識。
作中でも述べられているとおり、
映画は人生を倍にするし、
最後にヤンヤンが祖母へ述べている言葉はエドワードヤンの映画への誓いにも聞こえてくる。
それ故、遺作になったことが本当に残念なのだが……。
人生、夏、ピアノの旋律
好きな要素が散りばめられている。
虚飾がなく、
撮る者の不在を感じさせるショットは、
より映画=人生の図式を強調させている。
この図式に台湾の街並みが1番合っているのかもしれない。
これはあくまでヤンヤンの物語であるという前提から、人生への愛を感じ取ることが出来る。