えいこ

平成狸合戦ぽんぽこのえいこのレビュー・感想・評価

平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)
4.3
冒頭から背景となる自然の美しさに圧倒される。アニメーションの域を超えてもはや絵画。男鹿和雄美術監督の力量。季節の移ろいを繊細に描いたこの美しさが、物語の説得力として効いてくる。

リアルな動物としての狸から擬人化された個性的なキャラクターとしての狸、人間に化けた姿から妖怪変化まで、変幻自在に描くことができるのはまさにアニメーションならでは。狸の社会を人間社会の風刺として描きながら、その外側で行われるニュータウン開発は、個々の人間の思惑など存在しないかのごとく非人間的で無自覚。人間は登場しているのに、全く預かり知らぬところで、同時多発的に自然破壊が進んでいく怖ろしさ。

エンタメ要素も加えて構成されてはいるが、「狸たちが主人公のアニメ」では終わらない強いメッセージを持つ社会派作品。
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