みおこし

オール・アバウト・マイ・マザーのみおこしのレビュー・感想・評価

3.7
スペイン映画入門ということで、ペドロ・アルモドバル監督作品。おすぎさんが生涯ベストワンに選んでいらっしゃるのも納得の、世界中の女性のための【賛歌】でした。

移植コーディネーターのマヌエラは、観劇の帰りに今まで黙っていた父親のことを話そうとした矢先に起きた事故で最愛の一人息子を失ってしまう。息子の死を父に伝えるため、バルセロナへと旅立った彼女は、ひょんなことから息子の死の原因となった舞台に主演していた名女優ウマの付き人になり...。

悲しみのどん底に突き落とされた主人公が、色んなバックグラウンドを持つ女性たちとの交流を通して希望を取り戻していく再生の物語。母親だったり、レズビアンだったり、性転換手術を経て女性になった元男性だったり、エイズに感染していたり...。様々な女性たちが登場しますが、彼女たちは皆逆境にめげない勇気に満ち溢れていて本当に素敵。ゲイの娼婦アグラードが「美しい女でいるためにはお金がかかるのよ」と語るシーンがあるのですが、まさにその通り。それぞれが様々な努力の果てに、素晴らしい女性へと成長したのだなと思うとさらに胸が熱くなりました。

スペインらしいパキッとした原色が全編画面を彩り、ストーリーだけではなく視覚でもエネルギーを分けてくれる作品でした。主演のセシリア・ロスの名演技は言わずもがな、アグラード役のアントニア・サン・フアンが圧巻。まさかの本物の女優さんだと後で知り驚愕でした(笑)。
みおこし

みおこし