佐藤克巳

狼の王子の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

狼の王子(1963年製作の映画)
4.0
前半は「仁義なき戦い」の遥か先を行く実録物、後半は東京での沈黙から故郷での自滅への挽歌を、高橋英樹が一皮剥けた名演を披露し、鬼才舛田利雄監督の傑作の一つとした。
姉貴分の浅丘ルリ子が、妖艶で母性愛に満ちたスクリーンの女神と化し高橋を支えた。
同年の清順の傑作「野獣の青春」と並び開眼した川地民夫のど迫力と、新人藤竜也とあの加藤嘉の快演は恐るべし。日活こそ、ヌーベルバーグの本家である事を立証した作品である。
佐藤克巳

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