狼の王子の作品情報・感想・評価

「狼の王子」に投稿された感想・評価

勿論、この多彩で豊穣で堅実に見えて美しく歪んだ作家の最高傑作と思ってきた。今回のプリントはくたびれてていいとは言えず、力を欠いてるが、それでも原作からの右翼的であることの意味、自らの出処の保持する何かで迷い、引っ掛かり続けている危うさと眠ってて忘れかけてるを思い起こさせる作品であると同時に、ラスト辺の浅丘の化粧っ気薄く素に近く全テーマを引き受けてる顔の映画的直接表情からの離脱など、浦山の’69作品を予言しているように見えたは、今回の発見かもしれない。
それほどこの作家を知っている訳ではないが、何でも屋という以上に、映画に有りがちなテーマ・役作りの気負いというものが端から殆ど存在もしておらず、素の人間の内面が自然に出てくるばかりであり、造形的にもナチュラルな観点から途方もない豊かさ・柔らかさを産み続けてる。キワモノ的題材も浮かび上がらない。誰かが三隅・泰に次いでと揶揄するように言ってたが、私は本心で次にFAてレトロスぺクティブをやってほしいと思う。その題材を捌くのではない、活かす腕前を堪能したい、ある種ストイックな三隅・泰にはない豊かさだ。
私は舛田について殆ど詳しくないが、偶然観れた範囲でも、処女作の中篇にしてから映画的大傑作だったし、’60をはさむ初期の数年間は『赤い波止場』を頂点とするのか、裕次郎映画を中心とした、引き締まった映画のなかの映画とでもいったどこかストイックな作品群、’70年代以降は日活以外での多種プロパガンダ的と多く云われた大作群を含む期で実はそういった中傷を問題にしないくらい骨太作品ばかりで『大日本帝国』が頂点か、の間に挟まれた傾きかけた日活の屋台骨を中心になって支えた’60年代中盤~後期が、滅茶苦茶凄い円熟期だったと思う。『紅の流れ星』『艶歌』等も圧倒的に凄く、『ひめゆりの搭』『暁の挑戦』といった人によっては笑い種にする作品も全然悪くない。
本作のズーム・寄る・廻る・上下すカメラワーク、構図の角度・高低・サイズ、付き・離れ感絶妙の編集、暗部の方が活きてる照明のレベルは凄い。まるで気負わず、安保後の無気力・偽泰平そのもののトーンでそれが実現されてゆく。時代にコミットし日々の充実に向かわんとしてかつ虚無に囚われてゆくヒロインと、一方、自己の出自と、それが人為的に創られたことの特殊性の起源にだけこだわり(射殺の感触の嫌悪だけは別にこびりつき対峙してるが)・眼前の流れや周囲の風潮に直接呼応することには段階を置く主人公。この何にも明確に直接に行動を起こすことのない気質・空気を、世相・事件の変移を挿入するのへ併行して、ただ延々と頑固に描いてゆく、当然迷い・激しい葛藤はある筈なのだがそれを封じ込めてる映画そのもののあり方、この根っこは田村脚本というに留まらぬ豊穣な何かがある。
これは!素晴らしい作品!
「北九州の狼」と呼ばれた極道の半生をその時々の時代を絡めて描いた作品で、時代にエネルギーがあった前半はエネルギッシュに、段々しらけてくる後半は淡々としている。そのエネルギッシュな時代に育った高橋英樹は、1人落ち着いているように見えて、内に情熱を秘めていて何をするか分からないというキャラクターで、これがクライマックスへの布石になっている。
特に、ワンシーンの中にいろんなアイデアを詰め込んだ映像が私には素晴らしく思えて、次のシーンは何をやってくれるのかと楽しみながら見た。

「日本ヌーヴェルヴァーグとは何だったのか」@シネマヴェーラ渋谷
佐々木

佐々木の感想・評価

3.5
芝居がいい。前半の浅丘ルリ子のやさぐれ女子、素晴らしい。加藤嘉も。後半は出口なし。特攻隊コンプレックス丸出しで尻すぼみで終わる。うーん。残念。2019.2.14シネマヴェーラ
 路面電車に掴まりながら刺されまくる義父(石山健二郎)を目の前に、直前の喧嘩で足を怪我しているせいでどうにもできない高橋英樹がこけつまろびつ「おとうさーん!」と絶叫。この描写だけでセンキューベリーマッチとスクリーンに向かって感謝してしまったのだが、その直後の法廷シーンもなかなかに無茶をして驚かせてくれる。

 が、このへんから高橋英樹が何をしたいんだかよくわからない人になってしまい(まあそういうテーマではあるのだが)かなり退屈になる。
オープニングはパワフルな印象だったが、展開と結末は当初の印象と大分異なる。なにより、ラストの簡潔さに驚く。主演・高橋英樹の白いスーツ姿。印象に残ったのは序盤。ケンカをして負傷した高橋英樹と一緒に歩いていた親分(育ての親)が刺殺されるシーン。生き途絶え路面電車に引きずられる親と、負傷してるため電車に追いつけない・叫ぶことしか出来ない息子。中盤から登場する浅丘ルリ子は美しく魅力的。シネマヴェーラ渋谷「日本ヌーヴェルヴァーグとは何だったのか」で。
Josh2000

Josh2000の感想・評価

4.0
高橋英樹さんと言えば今や娘さんの方が知られた存在ですが若いときは全然印象違いますね。なんか声も今と全く違うし。
原作は石原慎太郎。浅丘ルリ子さんいい感じ。
川地民夫をもっと上手く活かせば良かったのに、巻き添えでアッサリ死なせて勿体ない

唐突なミッキー安川は慎太郎とのコネクションでしょうか
一

一の感想・評価

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ストーリーの骨組みは東映任侠的な昔気質のヤクザと新興ヤクザの対立ではあるが、根幹のテーマは文学的というか。時代の流れ、そして女によって去勢される野性性・野蛮の話。序盤の「喧嘩したくてしようがない」暴発的な高橋英樹は鈴木清順『けんかえれじい』に先駆けたイメージ。それが主に記録映像のときに過激なモンタージュによる時代の変化と浅丘ルリ子との出会い・生活によって押し込められる。浅丘によって鍵のかかった箪笥にしまわれる拳銃はあからさまな去勢のメタファーだが、意外なほどドライに描かれるクライマックスでの野蛮の再獲得の直前にはその拳銃を取り戻すというシーンが必要だったのでは。にしてもヤング英樹の角張った佇まいと眉毛はいいな~。
邹启文

邹启文の感想・評価

4.3
個人的最高発掘良品映画
オープニングのかっこよさは現代にも通ずれる
ましこ

ましこの感想・評価

3.6
日本のヤクザ映画初めて見たけど、切ない。白黒を上手に使った美しい絵が印象的。