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台風クラブのヨウのレビュー・感想・評価

台風クラブ(1985年製作の映画)
4.4
年頃を迎えた中学生たち。些細な憤懣と大人への反撥。誰もが魂消る狂乱が堂々開幕。鬱屈からの解放。闇夜の中の暴走。プールサイドでの一件、教室での諍い、誰もいない校内、レイプ未遂、向こう見ずな家出、体育館でのダンス、降り頻る雨と裸同然の男女、夜明けと悟り、巡り来る回帰。。台風の到来と共に一線を越える面々をその眼に入れれば思考停止に陥るであろう。奇奇怪怪な長回しに纏う名状し難き快感。何処までも訳分からん。それなのに謎の面白味がジワジワと押し寄せる。これが相米慎二の真価か。青春の自由と破滅を生々しく飾った異色作。鑑賞直後は意味不明の四文字が頭を擡げて止まないのだが後から痺れが襲い掛かる香辛料のようにその余韻だとか衝撃だとかがヒリヒリと残り続ける。『ションベンライダー』を観た時もそうだったが、相米の映画は間違いなく死ぬまで脳味噌にこびり付く神通力みたいなのを属性として持っているのかもしれない。軽妙な音楽とインパクトマシマシのシークエンスは体内の一部と化している。いやぁスゲエよ相米さん。虚妄に満ちた社会の反逆児たる存在感と矜持を作品全体から汲み取った。
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