むら

クレイマー、クレイマーのむらのレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
4.0
1879年イプセン『人形の家』では最後に女性が子供を置いて家を出ていく。
1979年『クレイマー、クレイマー』では子供を置いて出て行った女性が子供を引き取りに来る。
2019年『マリッジ・ストーリー』では子供を連れて女性が出ていく。
という(勝手な)3部作で鑑賞した。

どれも一見すると女性側の勝手な行動で振り回される男性の図に見えなくもない。が、『人形の家』で「愛する者のために名誉を犠牲にする者はいない」という夫に対し「でも何十万という女はそれをしてきた」と答える妻の言葉が全てのように感じる。
3人の女性はこの物語の前に果てしなく自分を犠牲にして来たんだと思う。
(かと言って男性が全て悪いとは言わない)
ではこの作品で女性は復讐をしたい、力を取り戻したいと思っているかというと、そうでもないと思う。
あくまで"愛"を貫いているのではないかというのは、ラストシーンではっきりと感じる。

というのが母親にフォーカスした感想。
作品全体としてはやはり父親と息子が絆を深めていく様子が愛おしい。
ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープはもちろんだが、息子のジャスティン・ヘンリーの表情やばい。
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