Lou

クレイマー、クレイマーのLouのレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
4.3
愛し合い、姓を共にした者同士が、今度は敵となって対立する。親権を争うための裁判では相手を貶め合い、そして傷つきあう。そうしないと子供を失ってしまうから。

この映画は父親目線で描かれており、どうしても彼に同情してしまう。けれども妻が悪役ということでは決してない。寧ろ彼女の立場にあって、自分を押し殺し、都合のいい妻・母親であり続けることがどんなに大変なことであっただろうか。離婚した責任は両方にあろうと、その原因の割合には多寡がある場合がほとんどだ。

だからと言って、だからと言って.......。と、子供を持ち出した「正論」をかざされたらもう何も言えないし、それに心を苦しむ人はきっと数え切れない。そんな思いをきっと抱えていただろう彼女が最後に下した決断は、すごく勇気のいることだったと思う。

誰かと一緒にいることの喜びと危うさは表裏一体で、諦め切れないから苦しいし、だからこそ尊く感じてしまうんだろうか
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