konoesakuta

クレイマー、クレイマーのkonoesakutaのレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
4.2
私的なことばかりで申し訳ない。

小さいときにテレビで観たクレイマークレイマーは「フレンチトースト」の映画だった。

先日ブックオフで本作がとても安い値段で売っていた。何気に買ってとても久しぶりに鑑賞。

不意に夫を襲った妻との別離。残された息子と強制的に向き合うことに。息子にママの方がいいと叫ばれる。息子と一緒に新しい生活と互いの信頼を構築する。仕事を失い自分を省みる。多いに発見し、過去の自分と解雇された今の自分を比べる。今の方が幸せなこともあると考える。幸せの定義を変える。せっかく安定してきたのに調停。息子を取られまいと悩み、自分の無力さを思い知らされる。争った、そして息子を置き去りにした妻を許容し、また妻も理解を示し、子どもの意見を尊重する話。今後家族がどうなるのかを想像させる話。

ここからは私の話。
私はワーカーホリックだった。1年間で360日朝から晩まで働いた。家のことは全て妻に任せ、仕事の世界に没頭した。家に給料さえ入れればそれでいいと思った。妻は耐える女だったが私たちは破綻した。子ども2人の親権は元妻に。

観る自分がどのような年齢や立ち位置や経験値かによって映画の評価が変わるのは知っていた。私は当時のダスティンホフマンの年を超えた。フレンチトーストの映画が実は家族の破綻と再生の映画だなんて。

また私の話。
離婚は受け止めなければいけないが、持てる時間を最大限費やして家庭や子どもに向き合っていたらどうなっていただろうとは考える。生活は苦しくなっても今のわたしには無い素晴らしい充実を味わった可能性は高い。そう思うときは全ては失ってからだ。

テッドとビリーは互いの愛を時間をかけて確認し、ビリーもお別れについてしっかり彼なりに考えることができた。

私はお別れに時間をかけれなかったし、子どもに涙を流してもらえなかった。子どもは状況をわかっていなかったと思う。そして私は別れた妻と再度抱き合うことはない。

「もっとちゃんと観ておけば」と後悔している。テッドと共有したいものがある。テッドから聞きたい話が山ほどある。

今なお普遍的なテーマを題材に、全く色褪せない傑作。

幸い別れた子どもたちに会わせてもらっている。できることをしていきたい。せっかくこの文章を書いたので、週末にはフレンチトーストを作ろうと思う。卵の殻が入ってないやつ。