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病院坂の首縊りの家のechizenのレビュー・感想・評価

病院坂の首縊りの家(1979年製作の映画)
4.0
市川崑の金田一は、どれも数えきれないほど観た。小学生の頃、全て劇場鑑賞。どの作品も登場人物の相関関係が難しい。当時理解出来なかった。それでも面白かった。
数多ある金田一モノ。市川崑監督の石坂金田一シリーズは、やはり頭抜けた面白さ。残念だけど、豊川悦司金田一の八つ墓村はダメだった。やっぱりスタッフとキャストが代わると、同じ監督だけではどうにもならない。
石坂金田一シリーズは、画が美しい。撮影は勿論、照明も演劇的で美しい。編集も逸品。録音も含めて音響も素晴らしい。
今の日本映画はテレビクオリティが多い。特に照明はバラエティ番組クオリティでもOK?だから八つ墓村は良くなかったと思う。
その後のリメイク犬神家の一族は、それが為に、前作の脚本とカット割のままで撮ったのでは?今のスタッフでは思い通りにならないと、市川崑監督が思ってしまった?自分はそう思っている。

市川崑の金田一が良いのは、実はお笑いもポイント。陰惨な事件の合間に、何ともまの抜けたシーンが多い。加藤武演じる刑事の勘違いぶり。三木のり平とセットのおばちゃんとのやりとり。大滝秀治のとぼけた演技。石坂金田一の浮世離れした雰囲気。レギュラーではないけど、坂口良子と石坂金田一のやりとりも良い。しかも何れもほのぼのした笑いなのだ。
特に加藤武の刑事は、最初は嫌味な男なんだが、最後は人情味をチラリとみせる。

劇場で観た当時、この作品が最後と知った。何年か後に草刈正雄金田一で復活しないかな?と思ったものだ。
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