似太郎

ラブ IN ニューヨークの似太郎のレビュー・感想・評価

ラブ IN ニューヨーク(1982年製作の映画)
5.0
【ハワード論⑤】

パン!🍞茶!🍵宿直!

やはりダメ男がひょんな事からのし上がるサクセス・ストーリーは観ていて痛快だ。あのトム・ハンクス&ダリル・ハンナ主演『スプラッシュ』以前にこんなキュートな映画を撮っていたとは…。う〜ん、ロン・ハワード恐るべし。

死体留置所で働く主人公チャック(ヘンリー・ウィンクラー)の元にマイケル・キートン演じる高圧的な同僚ビルが現れ、元締めのいない事をきっかけにNYの売春婦を集めてコールガール派遣業を始めるという身も蓋もない内容。(笑)

全編ドタバタ・コメディの体裁なのだが、脚本そのものは割と硬派である。役者が全員活き活きとニューヨーク中を動き、走り回り、速射砲のようなマシンガン・トークを繰り広げる。カメラワークから編集、何から何まで闊達でとても映画的。こんなにも魅力的なニューヨークの夜景は見た事がない。

男同士の友情と本来的自我の確立、或いは絶対的な自我の肯定を基盤とするロン・ハワード的主題はすでにこの初期作から垣間見れる。非常に共感を呼べる(男性であれば)作品であり、ワチャワチャした人間臭い喜劇。

「やっぱり、男はこうでなくちゃ!」といったアメリカ的マッチョイズムの典型的見本。これが何とも着飾った感じが無く頼もしい。個人的にはロン・ハワードの最高傑作だと思っている。
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