クリムゾンキング

格子なき牢獄のクリムゾンキングのネタバレレビュー・内容・結末

格子なき牢獄(1938年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

厳格な規律を重んじる少女教正院に着任した若き新院長は愛を持って接することで少女たちを更生させようとする。現代にも脈々と受け継がれる構成の物語。

犯罪を犯した、ということになっているけど実際は「親が給料の前借に来るので仕事が続かずに堪えかねて家出したら浮浪罪で捕まった」とか「ほんの出来心で靴下1足盗んだだけで2年」とか「再婚相手にいたずらされて警察に駆け込むも母親が嫉妬のあまり告発した」など家庭や社会の犠牲になって送られてくる少女がほとんど、その実犯罪者というよりは社会の犠牲になった子たちなので根はやさしい子ばかり。

改革前は自分の過去の犯罪自慢をしてたのにいつの間にか自分の恋人自慢になって歳相応の「女子トーク」に花を咲かせているのがほほえましい。

それでもやっぱり不良はいるもので、秘密の暴露と引き換えにたばこや酒をくすねるように言ってくる子もいるのだけど、最後は仲間意識というか、主人公を庇う姿勢を見せているのでやはり根っからの悪ではないと感じた。
婚約者がいるのに少女に手を出したあの医者は論外だけど。

はじめはぼさぼさの髪の毛だったコリンヌ・リュシエールが映画が進むごとにどんどん美人で愛らしくなっていくのも見どころ。

冒頭からタイトルロ―ルの後ろで鉄格子をのこぎりで切っている演出に始まり、改革を宣言してから院長の堂々とした笑顔に重ねてこれまでの規律の破棄や格子の撤去などを並行して描くシーン、急患で呼ばれたと思ったら雌牛の出産だった、など面白い演出や笑えるエピソードも多く、とても面白い作品だった・