出会うために別れる。もっと言えば、人は出会うべきときに人と出会う。それぞれの町で出会った人や環境はその時の鈴子に必要なものであったはず。
例えば、海の家にいた弟のような存在は、鈴子を笑顔にさせてくれたはず。村では褒めてくれたり歓迎してくれて優しさを分けてくれたはず。地方都市では、生きる上で大切なことが知れたはず。
自分は嫌でもここにいる。探さなくてもここにいる。逃げるような生活であったけど、逃げることは間違いじゃない。鈴子が過ごした夏は間違いじゃない。人生に間違いなんてない。今ここにいる鈴子は絶対なのだから。