まぎー

百万円と苦虫女のまぎーのネタバレレビュー・内容・結末

百万円と苦虫女(2008年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

東京育ちの鈴子が家出をするのだが場所は、「海」「山」「地方都市」三つの街。特別な街に出るわけでもなく、行ってしまへば何処も猛烈に地味な街。どこも映るのは、ごく普通の誰でも何度も見たことのある風景。
しかし、すべての街に何処でも見ることのできない、その街でしか見つけることの出来ない魅力が「街」には1つあると思った。

それは「そこの人」なんだと思う。どこも田舎という共通点はあるが、「海」には海で育った人、「山」には山で育った人、「地方都市」には地方都市で育った人がいて、実に面白い。人は皆その街に育てられ、その小さな世界の中で生まれる独自の人間関係の中で人格を構築している。
その世界は、様々な地方出身が混在する都会の「東京」で暮らす佐藤家の周りにも少なからずあった。
東京の世界からは抜け出せた鈴子は、勿論自分の当たり前が通用しない、相手の当たり前が理解できない世界に振り回されていく姿が、面白い。
その中で、彼女は、最後まで自分への自信・他人への魅力に本当は、気付けなかったのではと個人的に思った。

最後は、1人も悪者は作らないが恋人との再会はさせない。これが女性監督ならではの潔さなのか。誰もがクレジット前に再会してキスしてくれと願う中、あっけない一言で物語は終わる。
すごく残酷で意地悪なラストだったが主人公の鈴子の性格とすごくマッチしているような最後ですごく好きです。
まぎー

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