これは色々凄い。戦前に「少年倶楽部」で連載された少年冒険小説だが「ネバーエンディングストーリー」ファルコン顔負け怪鳥並みのデカさを誇る大鷲クロが大活躍、日曜の朝の戦隊モノの敵役みたいな造形をした消える妖術を使う江川宇礼雄率いる悪役の罠にハマりまくるパワハラ勇者御一行（中村東蔵細川俊夫天知茂）を子供たちが要所要所で助ける冒険大活劇。2部で、藤間紫の術を学んだ空翔ける少年竹童は水責めにあって全く使い物にならなくなった勇者御一行に変わって、4部全編に渡って鑑賞者の爆笑を掻っ攫う吹き矢ババア（武智豊子）の小屋で、終始イキりたおす蛾次郎という少年から松明の火を頂き、怪鳥クロとたった2人で大勢の敵を掻い潜り城を落とすのには笑うしかなかった…
第3部「火ごま水ごま」では仲間だと思っていた蛾次郎の裏切りにあい、ベイブレード顔負け竹童の火ごまと蛾次郎の水ごまが激突するが、竹童は片目を負傷する。包帯ぐるぐるで可哀想なんて思ったのが間違いだった、待ったなしでパワハラ勇者御一行がそんなんじゃダメだぞ！と竹童を叱るのは当時の児童教育の負の部分が見え隠れしていて興味深かった。
その後何分後かには（物語では5日後）傷さえ見当たらない竹童の姿は、どんなくそ映画だと言われようとノリで突っ切る！と言わんばかりのまさにこの映画そのものであるかのようであった。
撮影は岡崎宏三なので第3部の馬が駆ける逆光のカットや橋の上で捉えたシーンが決まりまくってて笑う。助監督に山田達雄。

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