yoko

アリス・イン・ワンダーランドのyokoのレビュー・感想・評価

1.9
力が欲しいか・・・。

どう考えても白の女王の方が腹黒で性悪なのに赤の女王を断罪する。

自分のように奇形のものに目をかける赤の女王。内心茶番に気づきつつも、彼女は愛されたかった。しかし裏切られ、愛されるより恐れられた方が良いと悟る彼女だけが愛おしい。

彼女を掘り下げればジョーカー的なコク、もののけ姫のおっことぬし的なコクが出たと思う。仲間のふりをした人間の神輿になり爆死。しかし白の女王に寂しく一人で生きなさいと雑に処理される。こいつホンマ善玉か?

アリスの内面、二つの価値観の衝突、それを乗り越えて成長、が大まかなテーマのはずだが、全然成長しているように見えない。
白、善、純粋
赤、悪、嘘
ならわかるが全然そうではなく
赤、純粋、人間らしさ
白、自己欺瞞、人工的
そのように見える
白の女王が黒幕で畜生とかなら面白いのに。

そもそもアリスは穴に落ちる前から好き勝手に生きている。
穴脱出後も好き勝手に生きている。そういう感じに見えるのが最大の問題。内面の弱さを克服した成長譚ではないのだ。
男性社会に抑圧されていたが〜とか保守的な社会に〜というメッセージにしたいのかわからないが。わりかし最初からフリーダムだよねwアリスは変わってないのよ。だから冒険が空虚。

そもそも、プロポーズした男はわりかし柔軟で、小声で突っ込んであげたり、表情も柔和で、たとえばベンアフレック的な脳筋風マッチョに婚約を迫られていたが、冒険で自立した自己を獲得して上部の魅力ではない価値に気付き、ハネのける。ならわかるが、彼からは旧態依然な保守感、アリスと対立する価値観を感じない。価値観を現代にアップデートしたアリスなら別にありなタイプでは?プロポーズしてくれた相手に胃腸が弱そうと断罪するのは強さかな?

そういう適当さ全部含めてルイスキャロルの不条理さやねん!別に必然性とかないねん!というのを意識的ににやってるならわかるが何も考えてない気がする。

最後1人ずつ見切った!的な雑な捨て台詞を残していくのがキツい。

赤の女王のピュアネスに乾杯。
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