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仄暗い水の底からのネットのレビュー・感想・評価

仄暗い水の底から(2001年製作の映画)
3.5
元々センター試験の過去問にあった津島佑子『光の領分』の一編が好きだったのだが、よくまあ光に満ちたあの小品をここまでジメジメした闇の映画に翻案できたねえと、鈴木光司の暗い想像力にホラー作家の底力を見る。
アパートの灰色幾何学的空間といい、天井から垂れる水といい、黒沢清成分高めで嬉しい。しかもカメラが動きまくるので、黒沢清映画では見られないお金のかかりかたを見れて気分が良い。
黒木瞳、元宝塚だからなのかコッテリとした感じの演技だが、その効果は『リング』の最後の井戸のくだりを思い出させる、艶やかさと怖さと哀しさが渾然一体となってぐちゃぐちゃになるクライマックスで発揮されているように見える。ここが大好きすぎる。
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