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THE WAVE ウェイヴのitosanのレビュー・感想・評価

THE WAVE ウェイヴ(2008年製作の映画)
4.5
「自由」であることに飽きてくると、人間は「規律」を求め、人生の目的を「見つける」のではなくて「与えられる」ことを望む。

人間には「個人」でありたい、誰からも干渉されずあるがままの自分でいたいという欲求と、「全体」の一部に置かれそのなかで限りなく「無」になりたいという相反する欲求があり、社会意識はその両極の間を振り子のように揺れる。

ヒトラーはその振り子運動を最大限に利用して権力を掌握した。

全体の思想は、個人であることに疲れた者や個人としては弱い者を次々と魅力し、ある臨界点を超えると権力を握る。疲弊した社会においては抑圧が解放として経験しうる。

おそろしい。けど、この原理はかなりの程度真実なので、啓蒙の力を信じるしかないし、怪しげな勢力が権力を握ってしまう前に、国内の社会・経済環境をメンテナンスしとかないとアカンという話ですね。
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