とくこ

THE WAVE ウェイヴのとくこのレビュー・感想・評価

THE WAVE ウェイヴ(2008年製作の映画)
3.8
この映画の面白いところは、ありがちな「独裁者によって徐々にマインドコントロールされていく人々の不気味さや恐怖を描いた作品」なのではなく、「徐々にコントロールが効かなくなっていく集団に対する、独裁者側から見た恐怖を描いた作品」なところだと思います。

たとえ指導者であっても、一つの意志や連帯感を持ってしまった集団は徐々にコントロールがし難くなり、いずれは収集がつかなくなるという恐怖や、ストップが効かなくなるという恐怖、そういった「独裁者視点」の恐怖を描いた作品なのです。

独裁者や独裁そのものを忌む内容というよりはむしろ、独裁者になってしまった、集団によって独裁者という立場にしたてあげられてしまった、そういう孤独なカリスマ性をもつ存在への、憐憫すら感じます。

こういう映画をドイツが作るというところに、私は関心しました。面白かったです。勉強になりました。
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