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THE WAVE ウェイヴのseiitaishogunのレビュー・感想・評価

THE WAVE ウェイヴ(2008年製作の映画)
3.7
アメリカの高校で実際に行われたサードウェイブ実験を元にした映画。

先生が入室したら起立・礼・着席、意見がある時は手を挙げて許可を求め起立して発言する、同じ制服を着せる…などなどの決め事きっかけにどんどん生徒達が連帯感を強め、集団心理が暴走していくスピード感が気持ち悪かったのと、あれ、これ日本の学校の様子と似てないか?と気付いたとたんファシズムに傾倒する人間と自分たちも紙一重なのかも、と考えさせられてゾッとした。
教室内のルールも生徒達に提案・決定・実行させる事から、ただ与えられた命令に従うのではなく「自分たちがこの集団を作ってるんだ、特別なんだ」という意識を簡単に持たせることに成功している。
流行に飛びつき、拡散し、グループに所属している連帯感を強く求める、などの若者の特徴が、ファシズムと相性良く結びついた結果が、若者を中心に熱狂的支持を集めたナチスの正体なんだなという片鱗を見られる。心酔・盲信は思考の放棄。

実際のサードウェイブ実験もたった5日の出来事のと事だが、あまりに生徒達がのめり込むスピードが早すぎて、若干視聴者の自分は置いていかれた…。映画としてはあともう少し狂気とスリル欲しかったところ。(だけど実際の高校授業での実験としては早いとこ止めとかないとヤバイのでしょうがないんだろうな)そういう意味で最後の顛末は映画としての脚色。

この映画や、esやリメイクのエクスペリメントみたいな社会実験ものは、人間の正義や道徳観念がいかに脆くて危うく壊れやすいかを知れて興味深いので好き。
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